119隻の航路

FIREマニュアル

 「4%ルールを正しく理解する」という記事で、4%ルールの研究で”成功”とされるリタイア生活には、避けたいものもあるという話をしました。

 4%ルールで引き出していけば、30年後の成功確率は95%と聞いた時、我々は5%の失敗を除けば残りの95%では夢に描いたリタイア生活をおくれるかような錯覚を抱きがちです。

 しかし、それは錯覚です。この記事ではそれを直感的に理解できるように説明します。

119隻の航路

 100万ドルの資産を築いた60歳のリタイア者119人がそれぞれ別のタイミングでリタイアし、4%ルールに従って引き出していきます。30年後に資産が1ドルでも残っていれば成功とされます。

 下のグラフは119隻の航路(119人のリタイア後30年の資産推移)を示しています。

 119隻のうち、失敗は赤い線の4隻だけです。他の115隻はすべて資産ゼロにならずに30年が経過している、つまり成功していますから、成功率は115÷119で96.6%です。

引用元:Engaging Data

 

 赤い線の4人が厳しいリタイア生活に直面したことは明らかですが、他の人々はどうでしょうか。失敗の4人以外は思い通りのリタイア生活を過ごせたのでしょうか?

 次のオレンジの航路を見てみましょう。

引用元:Engaging Data

 30年後にリタイア時に74万ドルほどの資産を残していますから、最終結果だけを見れば十分に成功といえるでしょう。

 しかし、この航路を最初から追っていくと、その旅が順風満帆とはほど遠いものだったことがわかります。

 この方はリタイア後2年目に大暴落に遭い、さらにその後3年間下げ相場が続きます。5年目の資産は半分以下の42万ドルにまで下がっていました。まだ航路の6分の1で、25年も残しているのにです!彼の脳裏には、自分がすべての資産を失うイメージが浮かんでいたかもしれません。

 その後株価は上昇に向かいますが、一度小さくなった資産では上げ相場でも大きくは回復せず、次に暴落がきたら・・・という不安な日々が10年ほど続きます。その後株価は急回復し危機を脱しますが、恐怖にさいなまれた10年間はトラウマになったかもしれません。しかし、資産を残して30年目を迎えるので、この方は”成功”したことになります。

 そして、こうした不愉快な”成功”の航路はこれだけではありません。

 他の航路も気になる方は、Engaging Data を訪れ、Legend HighlightのHoverにチェックを入れて、Legendの各数字にポインタを当ててみてください。色々な航路が見れます。

引用元:Engaging Data

まとめ

 いかがだったでしょうか。お伝えしたかったのは、成功確率は96.6%といっても、その中には避けたい旅が一定割合含まれているということです。

 誤解のないように断っておきますと、私はFIREを否定しようとしていわけではありません。私自身も目指しているわけで、FIREを目指す人には仲間意識を覚えますし、応援したいです。

 そうではなく、リタイア生活が不快・不安なものにならないように、以下のような準備が重要だと言いたいのです。

  • 資産に余裕を持たせる
  • リタイア後に市況が悪かった場合のプランB(再び働きはじめる、支出のを削る)を用意

 これらの話はまた別の記事でしたいと思います。

 ネガティブな面ばかりを語ってきましたが、当然、上振れするシナリオも考えられます。上の119隻の航路では、半分以上の船が30年後に160万ドル以上の資産を築いています。

 この記事が皆さんのご参考になれば幸いです。

 なお、本記事は以前書いた「20隻の航路」という記事の改良版です。

一二三
一二三

こんなサイトがあるなら、自分でグラフを作る必要がなかったわ(泣)

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