現金クッションは有効か?

FIREマニュアル

 この記事では「現金クッション」の有効性について検討します。

現金クッション

 リタイア期間が長期になると、FIREの失敗率は無視できない大きさになります。下の表は、以前も引用した Early Retirement Now というサイトからものです。

引用元:Early Retirement Now

 表の見方ですが、資産の株式比率を0~100%、期間を30~60年として、引き出し率3~5%で引き出していったとき、資産が尽きなかった割合を示しています。

 FIREで推奨される資産比率は、株式75%です。この株式比率で4%の引き出し率のところをみると、期間60年で85%です。失敗率が15%もあり、無視できません。

 この失敗率を下げるために「現金クッション」なる戦略があります。

 「現金クッション」は、年間支出の25倍の投資資産とは別に5年分の現金を持って置き、市場の暴落が来たら投資資産を取り崩すのではなく5年分の現金から生活費を支払うというものです。

現金クッションの有効性

 「現金クッション」は無いより有ったほうが成功率が上がることは自明です。しかし、年間支出の30倍の資産を作る必要があります。リタイア時期がかなり遅れることになるでしょう。

 「現金クッション」の有効性を考えるときに比較対象とすべきは、単純に「現金クッション」が無い25倍の資産を持った場合ではなく、30倍の資産を持った場合です。

 まず、すぐ思いつくのは、「現金クッション」などとまどろっこしいことをするのではなく、5年分の現金も投資に回してしまうことです。これで引き出し率は3.3%まで下がります。上の表に引き出し率3.3%のケースは記載されていませんが、その成功率は少なくとも引き出し率3.50%の成功率97%以上になります。

 「現金クッション」が有効性は、この成功率と比較して示さなければなりませんが、「現金クッション」を推奨する際にこの点が言及されていることはみたことがありません。「現金クッション」の有効性には疑問符がつきます。

現金クッションの問題点

 現金クッションの問題点だと思うのは以下の2点です。

 (1)5年分という額が大きすぎる

 リタイア後に上げ相場が続いた場合、5年分も現金で持っていたら、大きな機会損失になります。

 いつ来るかわからない暴落を待って、こんな大きな金額をインフレすれば目減りする現金という形で持ち続けるのはもったいないように思います。

 (2)危険な時期を過ぎても現金のまま持ち続ける

 リタイア時に多少の現金を持っておくことは悪くないかもしれませんが、FIRE最大の失敗要因はSRRですから、危険なのはリタイア直後です。リタイア直後を無事にやり過ごせたら、現金は消費してしまったり、投資に回していくことを考えたほうがよいのではないでしょうか。

エクイティ・グライドパス

 以上から、「現金クッション」はFIRE失敗確率を下げる手段としてはあまりおすすめしません。

 では別の手段はないかということですが、おすすめのSRR対策の手段のひとつとしては、「エクイティ・グライドパス」という戦略があります。

 詳しくはこちらの記事をお読みください→「FIRE失敗を避ける秘技【エクイティ・グライドパス】

 なお、「現金クッション」も金額を5年分ではなくもっと少なくして、リタイア直後に処分してしまうように修正すれば、有効な手段になるかもしれません。これは今後の検討課題にします。

 この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

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