地位財と非地位財を知れば幸福な人生に近づく

資本主義の攻略法

 個人的に支出の削減に大きな影響があったのは、地位財と非地位財という概念を知ったことです。

 地位財と非地位財を知ったきっかけは、『幸せとお金の経済学』(ロバート・H・フランク、金森重樹監訳、フォレスト出版)という本でした。


 本記事では幸福な人生を送るために有用なこれらの概念についてご紹介します。

地位財、非地位財とは

 地位財とは、家、クルマ、時計、ブランド品、子どもへの教育費のように、自分の社会的な地位を示す財のことです。また、お金で購入する商品やサービスだけでなく、年収、資産額、職業、役職といったものも地位財の一種と考えることもできます。

 一方、非地位財とは、他人と比較することなく絶対的に価値のある財です。例えば休暇などです。

2つの思考実験

 地位財と非地位財を理解するために、2つの思考実験をしてみましょう。

 まずは家についての思考実験です。

 周囲が豪邸ばかりの中、あなたは100坪の家に住んでいる世界を想像してみてください。次に周囲が60坪の家ばかりの中、あなたは80坪の家に住んでいる世界を想像してみてください。前者の世界のあなたのほうが後者の世界のあなたより大きな家に住んでいるはずですが、みじめな気持ちになったのではないでしょうか。これは家が地位財であり、周囲との比較に価値があるためと考えられます。

 次に、休暇について思考実験をしてみましょう。

 周囲が6週間の休暇を取る中、あなたは4週間の休暇を取れる世界を想像してみてください。次に周囲が1週間の休暇を取る中、あなたは2週間の休暇を取れる世界を想像してみてください。今度は、たとえ周囲の休暇のほうが長かったとしても、前者の世界のほうが好ましかったのではないでしょうか。これは休暇が非地位財であり、周囲との比較ではなく、休暇それ自体に絶対的な価値があるためと考えられます。

最終的に全員が負けるゲーム

 地位財は他人と比較して勝ることに価値があるため、自分が高級な財を買っても、相手もそれに対抗してさらに高級な財を買うため、果てがありません。知らぬ間に陥りがちな地位財競争ゲームの罠です。

 例えば、ある人が大きな家を買うと、隣人がそれに勝つためにもっと大きな家を買います。しかしそのうちもっと大きな家を買う人が近所に現れますから、結局隣人もいずれこの競争に負けてしまいます。このゲームに永遠に勝ち続ける人はいません。最終的には全員が負けるのです。

 特に、資本主義社会で多くの人々が陥る罠が、地位財としての年収や資産額を追い求める過ぎる罠です。ある人々は、カネを追いかけることが目的化して仕事に時間を費やし過ぎ、家族との時間など真に価値を感じるものを犠牲にしてしまいます。そして人生の終わりになって、犠牲にしたものを思って後悔するのです。これではカネに支配される人生です。

 カネは生活していく上で必要不可欠なものであり、多ければ多いほどよい便利な道具ですが、所詮は道具であり、手段に過ぎません。自分を満足させるために必要な分は稼ぐ必要がありますが、それ以上稼ごうとしている場合は、手段と目的を転倒させてしまっているかもしれません。このあたり、FIREにも相通じるものがありますね。

 不毛な競争からは、そっと抜けてしまうのが賢いのではないでしょうか。

地位財は必ずしも悪いものではないが

 地位財を手にしたときは、達成感から一時的に幸福感を覚えます。地位財の獲得を目指すことで、人生にハリが出るということもあるでしょう。ですから、地位財は必ずしも悪いものではありません。

 しかし、その幸福感は長続きせず、すぐに慣れてしまいます。

 一方、非地位財から得られる幸福感は一般的に長続きします。

 地位財の獲得に資源を投入し過ぎると、非地位財に回す資源が枯渇します。

 地位財の獲得を目指すことは否定しません。ですが、それで犠牲になるものも意識しておきたいところです。優先順位を間違えるな、ということです。

地位財を知り、自分に問いかける

 なにか物欲が湧いてきたときに「これは地位財を欲しがっているのではないか?」と自分に問いかけることで、衝動買いを抑えることができます。

一二三
一二三

思えば、私が後悔している買い物の多くも地位財に関連するものばかりでした。ブランド品、高級時計、見栄で買った外車・・・

 地位財の概念をよく理解することで、地位財獲得競争の罠から(完全に、ではなくとも)逃れることができます

 私は地位財の概念を知ったことで、大きな買い物で後悔することがほとんどなくなりました。

地位財に自覚的になり、幸福に近づく

 地位財を知り、自分も無意識に地位財を追いかけてしまうことに自覚的になることは、より少ないお金で自分を満足させることができることにつながり、幸福への近道となります。

 地位財と非地位財についてさらに詳しく知りたい人は、冒頭で触れた『幸せとお金の経済学』(ロバート・H・フランク、金森重樹監訳、フォレスト出版)がおすすめです。


 この記事が皆さんのご参考になれば幸いです。

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