FIRE最大の失敗要因SRRとは
SRR(Sequence of return risk)とは、「リターン順序のリスク」です。リタイア直後のリターンの順番によるリスクを指します。
例をみてみましょう。
投資資産100万円で引き出しせず、1年目に+10%で2年目も+10%のリターンの場合、1年目に-15%で2年目に+42%のリターンの場合、1年目に+42%で2年目に-15%のリターンの場合の結果はそれぞれ以下のようになります。

いずれも平均利回りは10%で、結果は変わりません。
では、年10万円ずつ引き出す場合はどうなるでしょうか。

このように、結果が変わってきます。リターンの順番として、先に下げ相場を経験すると、結果が悪くなるのです。
これは直感的に理解できます。市場の底で資産を取り崩してしまうと、資産が小さくなった状態で上げ相場を迎えることになり、あまり大きな果実を得られないということです。
これがSRRです。
SRRはFIRE失敗の最大の要因とされます。FIRE直後に株価が暴落して資産が大きく目減りしてしまうパターンが最もよくあるFIRE失敗の類型です。
FIRE失敗を避ける手段
FIREの失敗を避ける手段として有名なものに、「現金クッション」、「利回りシールド」があります。
「現金クッション」は、年間支出の25倍の投資資産とは別に5年分の現金を持って置き、市場の暴落が来たら投資資産を取り崩すのではなく5年分の現金から生活費を支払うというものです。
「利回りシールド」は、市場の暴落時に投資資産を取り崩さず、高配当株の配当によって生活するというものです。
結論を言うと、どちらも効率が悪く、おすすめはできない手段です。参考記事→「現金クッションは有効か?」
おすすめのSRR対策の手段のひとつとしては、エクイティ・グライドパスという戦略があります。
詳しくはこちらの記事をお読みください→「FIRE失敗を避ける秘技【エクイティ・グライドパス】」
そのほか、「レベルを上げて物理で殴ればどんな敵も倒せる」みたいな話になってしまいますが、単純にリタイア時の資産を多めにして引き出し率を下げるというのが確実に有効な手段です。
引き出し率をどれだけ下げればよいかはこちらの記事を参考にしてください。
支出を下げるという手段も有効です。ただし、一般にFIREをする人はすでに支出をカリカリに絞っているでしょうから、さらなる支出削減の余地は小さいケースが多いことに注意すべきです。
また、働いて労働収入を得るという手段ももちろん有効です。
SRRは資産形成期にもある
一般的にSRRは前述のようにリタイア後の話として取り上げられます。
しかし、SRRは資産形成期にもあります。積立をしている投資家にとって、投資額が小さい早い段階で高いリターン、投資額が大きくなった後半で低いリターンを経験すると、結果は芳しくないものになります。
これはレバレッジを活用した合理的な投資法である程度緩和できます。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
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